自律訓練法は、ベルリン大学のシュルツ博士によって考案された自己催眠法の一つです。 体の各部分に心を集中することにより、心身をリラックス状態へと導き、それによって ストレスを緩和し、自律神経のバランスを取る方法です。
自己催眠と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、私たちは日常で軽い催眠状態を体験しています。珍しいことではないのです。
例えば
〇朝目覚めて、まだお布団のなかで「ぼんやり」している時
〇電車に乗って座っていて「うとうと」している時
〇お風呂の湯船につかり「ぼぉーっと」している時
〇休日の昼食後、お腹も満たされウトウトとしている時や、夜お布団に入り寝入る前など
日常で体験されているこれらは軽い催眠状態なんです。気持ちよくリラックスしていて、意識がぼんやりしているような状態が一つの催眠状態です。この状態をいつでも自己暗示で、すっと入れるととても便利ですね。1日の中で少しの間でも、リラックスした軽い催眠状態に入れると、自律神経のバランスが整ってきます。
自律神経とは、緊張状態の時に優位に働く交感神経と、リラックス状態の時に優位に働く副交感神経があります。この緊張と弛緩のバランスが取れていると、心身共に健康な状態ですが、現在は緊張状態が続くことが多いため、意識的にリラックス状態を作り出すことでストレスの軽減につながっていきます。
リラックス状態の効果としては(個人差がありますが)
○蓄積された疲労の軽減
○イライラが減り、穏やかな気持ちでいられる
○衝動的な行動が少なくなる
○集中力がつき、能率が上がる
○内省力が身につき、前向きになりやすい
日常の生活の中に取り入れてみて下さいね。
[自律訓練法]
体の各部分に気持ちを向けながら自己暗示を行います。
その各部分は、以下の6か所です。
1.腕が重ーい・足が重ーい
気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
2.腕が暖かーい・足が暖かーい
気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
3.お腹が温かい(胃の裏あたり)
気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
4.心臓が規則正しく動いている、正確に動いている
気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
5.呼吸がとても楽だ
気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
6.額が涼しい
気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
の6か所です。とても健康的な「頭寒足熱」の状態を暗示していきます。 そして、各自己暗示の間に「気持ちがとてもゆったりと落ち着いている」を入れて行き ます。
あおむけに寝転がり、気持ちを楽にして目を閉じて、上記の言葉を心の中で約20秒位 ずつ(感覚的に)暗示し、間に「気持ちがとてもゆったりと落ち着いている」を入れて いきます。
ポイントは、自己暗示をする時にゆったりとした口調で、のばし言葉で暗示することで す。 暗示と共にゆったりとしていきます。
また、4.の「心臓が規則正しく動いている」は、初めての方はかえって気になる方もいらっしゃい ますので、暗示をせずに飛ばして下さい。自己暗示に慣れてこられた段階でこの暗示も入れてみて、気になるようなら4の自己暗示は飛ばして下さい。(心臓疾患の方は、この暗示は必ず飛ばして下さい)
1と2は実感しやすいのですが、3以降は実感しにくいので焦らずのんびりと続けて下さい。
目的は、交感神経(緊張している時に優位に働いている神経)を休めて 副交感神経(リラックスしている時に優位に働いている神経)を優位に導き、リラックスすることですので、気楽に行なうことがコツです。1と2の自己暗示だけでも十分リラックス効果があります。
慣れてきて、すぐに眠ってしまう場合は「気持ちがとてもゆったりと落ち着いている」 を省略したり、自己暗示を短めにしても良いです。
一度、試してみてください。