樹木希林さんの「一切なりゆき」の書籍から、とても素敵なお話がありました。中野夫妻の仲の良いお話なのですが、夫婦仲の良いお話は婚活にも役立つと思いますので、ご紹介させていただきます。

１　樹木希林さんの「一切なりゆき」から

「私、世の中のご夫婦を見て、ちっとも羨ましいと思ったことはないんですが、この話だけは別なんです。原泉さんて女優さん、ご主人は作家の中野重治さんで、私一度、夜お邪魔したことがあるんです。
　ちょうど夏で、部屋に蚊取り線香がたいてあって、中野さんはランプの灯った机に向かって何か書いていらっしゃる。その白いきものの後ろ姿に向かって原さんが、「あなた、ただいま」って声をおかけになった。
　それから、その日は私がいたからかもしれませんけど、いつもはその背中を貸してもらうんですって。後ろから寄り添って、その日あったいろんなことを、あったかい背中に聞いてもらうんですって。いい話だと思って、私もできればそういう背中が欲しいと、時々思いましたよ。私も年をとって、そういう色っぽいエピソードのひとつやふたつ欲しいと思いますけどね（笑）
　だからみなさん、”ボケ”ないうちに、異性と楽しい時間をもつことをお勧めします。」

この話に出てくるご主人（作家の中野重治さん）は、奥さん（女優の原泉さん）の話を背中越しにちゃんと聞いていらっしゃったのでしょうね。

２　やっぱり聞いてもらうことですよね

中野夫妻の仲の良い雰囲気は、「その日あったいろんなことをあたたかい背中に聞いてもらう」というところから伝わってきますよね。

ご主人が作家というお仕事ですので、机に向かっていらっしゃることが多いため、背中に聞いてもらうわけですが、「聞いてもらえるかどうか」ということが、妻にとって大事だということがわかります。

婚活相談をお聴きしていますと「結婚しなくてもいいけど、寂しいのでパートナー的な存在が欲しいです」とおっしゃられる方もいらっしゃいます。

私達は、誰かにわかってもらえた時やわかろうとしてもらった時、繋がっていると感じ孤独ではなくなります。

しかし、血の繋がった親子であってもわかり合うのは難しいものです。わかっている部分もあると思いますが、全てということはあり得ませんね。血の繋がりのある親子でさえわかり合えないのですから、他人であり男女の性の違いもある恋人や夫婦では、わかり合うというのは至難の業だと思います。

中野重治さんが奥さまの話を聴かれているのは、ただただ否定せずに寄り添っているということですよね。妻のことはよくわからないので、わかろうとして寄り添ってくれているのですよね。

結婚は、多くの方が「寄り添い合える関係」を望むのだと思います。

３　寄り添い合える関係作りは、あなたから

私は、夫と出会い結婚できて本当に良かったなと心から感じています。世の中「結婚は人生の墓場」と言う表現をされる方がありますが、不思議なくらいです。

夫と一緒にランチに出かけたり、旅行に行ったり、お笑いのライヴに行ったりしても喧嘩や言い合いになることはありません。気を遣う必要もなくとっても楽しいです。

何故だろうと振り返ってみた時、カウンセリングのお陰だなと思いました。カウンセリングは主に私がさせていただいていますが、夫もカウンセラーの資格を持っており「聴く」大切さを知っています。お互いに聴く大切さを知っているため、否定せずお互いに聴き合えるので喧嘩にならないのだなと思います。もちろん、考えや意見が違う時はありますので、その時はよく話し合います。

恋人や夫婦も一人では成立しない人間関係ですので、相手があっての関係性です。こちらがどのように関わるのかということで、相手の関わり方は違ってきます。こちらが聴こうと思うと相手も聴こうと接してくれますし、こちらが反発すれば相手も反発するということです。

関わり方で違ってくるということを少しイメージしてみて下さい。

世の男性は、結婚したら女性の初々しさがなくなったと言われる方が多いと思いますが、実は男性の関わり方が違ってきたからなのです。

女性として大切に関わってもらえると、女性らしくなりますよね。例えば公園を歩いていて、少し疲れたからベンチで休もうかという時「スカートが汚れてはいけないね」とハンカチをそっと引いてもらえると「ありがとう」と、おしとやかに座りますよね。たとえ結婚１０年目であっても大切に接してもらえると、雑に返せませんよね。

逆に女性は、彼や夫に「あなた凄いわ。頼りになるわ。素敵」と関わっていると、相手からその部分をどんどん引き出すことができて、本当に頼りになる素敵な彼、夫になっていくのです。あなた次第なのです。

相手の物足りない一面をクローズアップしてしまい、それを直して欲しいなんて言葉にすると、その部分を引き出すことになり強化してしまいます。理想の彼、夫からどんどん遠ざかってしまいます。

中野さんの奥様は、そのスイッチをいつも入れていらしゃるのだなと思いました。あたたかい背中で、寄り添ってもらうためには、あなたから寄り添って「素敵だわ！最高！ありがとう」と、相手の良さを引き出して下さいね。スイッチは、あなたが持っていますよ。

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