身体の恒常性(ホメオスタシス)とは、身体の内部環境を一定の状態に維持しようとうとする生体機能のことです。

人の身体の働きでわかりやすいのは、体温調節や、自律神経系における緊張する時に働く交感神経と弛緩している時に働く副交感神経のバランスや、免疫系のリンパ球と顆粒球のバランスなど、生命活動を支えるシステムです。

これらは、生命の維持のために行われている本能の働きで日頃は意識せず、無意識的に行われています。これぞ「無意識さん」なのです。凄い働きなので、どうしても「さん」を付けたくなってしまうんです。

緊張と活動を司る交感神経と、弛緩と休息を司る副交感神経という自律神経系のバランスにおいては、周囲の環境の変化に合わせて、生物の身体全体の状態を適切な状態へと変化させていく働きで、これまた凄いことです。

今回ご紹介したいのは、生物としての恒常性(ホメオスタシス)だけではなく、人間の心における恒常性なのです。

心における恒常性は、FAP療法の開発者である 著者 大嶋信頼氏「ひとりで頑張る自分」を休ませる本のなかで「真ん中に戻す力」と紹介されていました。

真ん中に戻そうとするため、「元気」というポジティブさが生まれると、気分の高まりを落ち着かせるために「ゆううつ」というネガティブさが生まれて中和するということです。

「元気」「ゆううつ」ということだけでなく、様々な感覚で恒常性は働いています。

他にわかりやすいのは、あなたがもし「いい人」になろうとすれば「悪い人」を演じる関係性ができてしまいます。なので「いい人」はやめましょうということなのです。

例えば、自分が無理をして引き受けた仕事も「いい人」と思われるどころか、却って攻撃されてしまったり、「はい」と言って受け入れているのに自分の意見や考えを持っていないと攻撃されたり、やってられないでしょう。

ひと昔の私は、「いい人」でありたいと周りのことばかり考え、気がつくと自分の意見を全く言えなくなってしまっていました。そして「卑怯者」と言われたことを思い出しますが、自分が創り出していた関係性だったのですね。

今、思えば本当に「卑怯者」でした。

恒常性の概念を見ていくと「いい人」をやっていたからだということがよく分かります。

「いい人」を止めて「これは引き受けられないのよ」と断るとあっさり「そう」となって、どんどん楽になっていく、どこかシステムのようになっているんだなと思います。

「いい人」を思い切って止めてみると、案外スムースに流れていくものなんです。

人間、無理をしないことですね。

「いい人」は断らずに全部引き受けてしまい、自分の感覚がなくなってきてしまいますから、人から下に見られてしまってより苦しくなるんです。(人から下に見られるというのも幻想なのですが)

「いい人」を止めて、仕事も婚活も人間関係も自由に自分の感覚で人生を生きちゃいましょう。