1.ナラティブアプローチによる「外在化」「内在化」とは?

 

私は、「FAP療法」に出会い随分楽な人生へと変えることができました。

その「FAP療法」では、ナラティブアプローチによる「問題の外在化」をおこなっていきます。FAP療法は、ナラティブセラピーのアプローチとよく似ています。

まずは【ナラティブアプローチ】について

様々な心理療法があるなかで、ナラティブアプローチ(物語のケア)という療法があります。

ナラティブアプローチでは、問題の「外在化」を行っていくのですが「外在化」とは、問題を文字通り外に位置付けることです。「外在化」に対して「内在化」もあり、こちらは問題を内に位置付けることです。

この捉え方を行ってみると、感情に左右されず楽に物事を捉えることができますよ。私たちは、何か問題が起きた時「あーーどうしよう」と不安になったり上手くいかないことに対して怒り湧いてくることもあります。感情が問題を大きくしてしまうように感じます。つまり、この感情が大きく揺れ動かずに落ち着いていられるといいですよね。

少し横道に逸れましたが「外在化」は、感情と距離を取るのに最適です。

私達は、何か上手くいかないことがあると、何が原因なのかを考え探していきます。特にお仕事ではトラブルがあれば原因を探し改善策を練るものです。その感覚で、自分のことも上手くいかないことがあると「原因」のようなものを探っていこうとします。

例えば、婚活や職場での人間関係、親子関係が上手くいかない時、「原因の内在化」をすると「性格が弱いから」「神経質で、反応しやすいから」などと考えたりします。これってすぐに変えられるものではないので、苦しくなっちゃうんですよね。さらに不安で一杯になっちゃいます。

では、そのまま問題の原因を外に向けるとどうでしょう。(この捉え方は、まだ本質的な「外在化」ではありません)

「会社の方針が悪いから」「売上ばかりで職場の人間関係がぎくしゃくするのよ」とか、会社でのストレスが溜まって「親子関係もぎくしゃくするの」「婚活も上手くいかないよ」となります。

こちらもすぐには変えられないし、会社の方針を変えようとすると、よりぎくしゃくして上手くいかなくなります。

人や会社、社会はそう変えられるものではないし、家族の場合、親を変えられないので、しんどくなるだけですよね。

ナラティブアプローチでは「原因」ではなく「問題」そのものに注目していく「問題の外在化」を行います。

例えば「人間関係が上手くいかない」といったお悩みがあった場合、そのことだけを見ていくのがナラティブアプローチの「外在化」なんです。自分の性格や相手の受け取り方に「原因」を求めないということなんです。

私の場合、母との関係性が難しかったのですが、母に会った時、愚痴を聞いて私もイライラしたのですが、よーく問題点だけを考えると、シンプルだったりします。

2年前に他界しました母は、2年程、寝たきりになり施設でお世話になりました。その時「施設でのエアコンが効きすぎて寒い」という愚痴があったのですが、よく確認すると実際には「今は、大丈夫やけど」なんです。

結果的に寒い時は、職員さんに依頼して調節してもらっているのです。暑さ寒さはその時の体調によりますので「寒い時もあった」という話を「寒い」と表現していただけなんです。

つまり悩み事は、感情によって問題点が見えなくなることが起こるため、客観的に見ていくことがポイントになりますよね。

そこで、ナラティブアプローチでは別のストーリーを描くことで、感情から自由になることができます。

母の話を聞いてイライラする感情にあだ名をつけたりするんです。ちょっとイライラしてきたなと思うと私はイライラの感情に「かんちゃん」と名付けました。頑固な母のお話を聞くので「がんちゃん」にしようと思いましたが、「かんちゃん」の方が優しいでしょう。自分の心が「ほわーっ」とするのがおススメです。(笑)

「ああーー、かんちゃんのお出ましね」と思うとイライラも収まり、笑いも出てきます。母に優しい気持ちで接することができて、お互いハッピーです。

FAP療法では、ナラティブアプローチの「問題の外在化」をまた違ったアプローチで行い、とても興味深いので紹介しますね。

 

2.FAP療法による「問題の外在化」

 

私がFAP療法を知った時、とっても斬新な「問題の外在化」に救われました。

私は、母との関係性でイライラする母を何とか納めないとと思っていました。FAP療法では、母がイライラして怒っている状態を「発作」と捉えていきます。

発作とは、通常イメージされるのは、けいれんのような発作状態だと思いますが、FAP療法では「脳の電気発作」に注目しています。

私達の脳は、軟らかいタンパク質のかたまりです。このタンパク質のかたまりは1千億個以上の神経細胞でできており「軸索」というケーブルで無数のネットワークをつくっているそうです。脳の働きは電気活動で行われているため、脳には、微量な電気が流れいます。

その電気は、静かに流れているといいのですが、ストレスなどの刺激で脳に帯電することがあります。さらに限界を超える刺激があると「ビビビッ」といった感じで、電流を放出するのです。その状態が「発作」なんです。

どのような状態かと言いますと

ちょっとしたことで「イライラ」して「カァッーー」となったりする状態です。誰しも体験していると思います。

「カァッーー」となると、あれー自分じゃないみたいとか、いつも優しい自分でありたいのに私ってなんて嫌な人なんだろうと思いますよね。「人格」というよりは、「発作」です。

「発作」と思うと「自分の性格がダメなんだ」とか「イライラしちゃう自分は心が狭い」などと思わなくて済みますでしょう。

私自身もイライラと「発作」が起きますし、母も怒りの「発作」ですので「怒っている母は、今、発作状態」と思うと、私が何とかするのではなく、治まるのを待つだけだと気づくことができました。何とか回避しようと謝ったりするとより強くなるのが「発作状態」です。静かに待つことなんです。

この考えだと「問題」を外に見ることができます。これを「問題の外在化」といいます。治まるのを「待つ」だけなので、至ってシンプルです。

この捉え方は、落ち着いた人間関係を築いていけるので、仕事や親子関係、婚活にも役立ちますよ。