1.初期の指を押さえるFAP療法

 

FAP療法は「トラウマさん」を解消していく療法ですが、婚活や人間関係、お仕事など物事が上手くいかないと感じる時は「トラウマさん」の解消を行ってみると気持ちが前向きになり、案外近道になるのではないかと、ご紹介させていただきます。

FAP療法は、年々バージョンアップされており、現在はVer15(2024年)になります。初期のFAP療法が「指のツボを押さえる」という方法です。

【FAP療法が発見された、「臓器反応」と「内臓共感」について】

大嶋信頼先生がセッション中での体験からでした。大嶋信頼先生がカウンセリングで、毎日胃が痛み胃薬を飲まれていたそうです。検査では、胃潰瘍の後があるので医師には「働きすぎなのでは」と言われ、お仕事を調整されても治らなかったそうです。

そんなある日、胃の調子が良い日があり痛みが治まっていた時、次の患者さんと会った瞬間、突然また痛み始めて、調子が良かったので不思議に思いながらカウンセリングをされていました。

その患者さんは無表情で怒りを表現され全部思いを吐き出し、気持ちが解放されると同時に大嶋先生の胃の痛みも治まったそうなのです。

そこで、内臓が反応していたことを発見されました。相手の怒りが伝わり臓器が反応するため「臓器反応」と言い、その反応を感じ取ることを「内臓共感」と言います。

この反応を理解するために、古代中国の医学から人間の体にある経絡「手の指先」に注目されました。

私たちの感情と臓器は密接に関係しています。例えば、怒りを感じているとシクシク胃が痛んだり、食欲が低下したりすることがあります。不安を感じていると便秘や下痢になったりすることは、皆さんも経験されていると思います。

臓器と指は中国医学で言うところの経絡で繋がっており、指に刺激を与えることで臓器の痛みなどの症状とそれに関連する感情を和らげることができるという仕組みです。

そこで、感情に伴う臓器反応を順番に押していく、FAP療法の初期「指を押さえる方法」が体系化されました。

私がこの初期のFAP療法を習った時は、気になるトラウマ反応のような出来事に対するネガティブな感情が、関連する臓器反応の指先を押していくことで、感覚がスーッと軽くなっていったのを思い出します。

 

2.ミラーニューロン(共感反応)について

感情から内臓が反応していることを感じ取ることを「内臓共感」「共感反応」と言いますが、この感じ取る反応を脳のミラーニューロンで説明されています。

ミラーニューロン(脳の共感反応)とは

相手の行動を見て、自分自身までも同じ行動を取っているかのように反応するという人間の脳内の神経細胞の一つの働きです。ジアコーモ・リッツォラッティ博士らによって、1996年に発見されました。

一番わかりやすい例が、緊張している人や焦っている人の近くにいると、自分もその緊張や焦りを感じて「何だかドキドキしてきた」といった経験はあると思います。自分の感覚だと思っていたものが、実は他者の感覚をミラーニューロンで感じ取るというものです。

この相手の感覚が伝わってくる「脳の共感反応」を活用していきます。

 

3.指のツボを押さえる方法の流れ

 

相談者様が抱えている問題やお悩みの情報を、感情や身体反応を基に先ほどの脳の共感反応であるミラーニューロンを活用し、セラピストが指の反応でどの部分が関係しているのかリストから探していきます。

感じ取った情報からご相談者様に指のツボを押さえてもらうことで、緊張を緩和し、状況記憶と感情記憶を統合させていくという方法です。この状況記憶と感情記憶の統合がトラウマさんを解消していくポイントになります。

【状況記憶と感情記憶の統合とは】

私たちは、日常を過ごしていくなかで感情が動くことが多くあります。そんな時の脳内は「この状況」=「この感情」というように状況と感情が結びついて脳の中に整理されて保管されていきます。

幼少期では、感情がまだ十分に発達していない時期です。その時期に状況とそれに伴う感情がよくわからず、整理されないままになることがあります。その状態を「トラウマ(PTSDと違って特別な状態ではなく)」と言い、多かれ少なかれ誰しも経験することでもあります。

この感情を臓器反応をヒントに見ていき、状況と感情がバラバラな状態を統合していくことが、FAP療法でおこなっている「トラウマさん」の解消方法です。

【次にFAP療法、初期の流れを見てみると】

〇相談者様が問題を思い浮かべて言語化してみる
       ⇓

〇相談者様の身体反応が起きる(気になることを言葉にすると、肩が張る、胃が圧迫される感じなど個々により、様々な感覚があります)
       ⇓
〇ミラーニューロンを介してセラピストの指の反応で感じ取り、問題と感情に関係するであろう経絡の指を特定する
       ⇓
〇相談者様の感情に関係する指のツボをセラピストと一緒に押さえてもらう
       ⇓
〇感情による緊張が緩和され、解離していた記憶と感情が統合される

また、セラピストが相談者様と一緒にツボを押さえて共有することで共感が深まり癒しとなって、相談者様の固着された概念からの解放が進み、状況と感情の統合が行われていきます。

これらの方法をご自分でも行うことができます。

(現在のFAP療法のセッションではver.15を行います

著者 大嶋信頼先生「本当の私よこんにちは」で、FAP療法の自分でできる「指を押す方法」が詳しく紹介されています。書籍から学ぶこともできますし、株式会社インサイトカウンセリングさんでFAP療法初級講座が開催されており、この講座で学ぶことができます。また、インサイトカウンセリングさんでは、指を押さえるパターンも紹介されております